語られなかった兄弟の物語。
― 運命に選ばれた者と、選ばれなかった者。そのすれ違いが、すべてを変えてしまった ―

目次
『ライオン・キング ムファサをオススメする3つの理由』
1.『ライオン・キング』の“始まり”が、切なくも壮大に描かれる
2.スカー=ただの悪役じゃない、新たな視点が胸を打つ
3.動物の瞳にさえ宿る感情――圧倒的映像美で魅せるディズニーの真骨頂
これは、王にされなかった者の本当の想い
偉大なる王ムファサと、その弟ティカ(後のスカー)。
王に選ばれた兄と、そうでなかった弟――
2頭の間にあったのは、確かな愛情と、どうしようもないすれ違い。
「どうして、自分じゃなかったのか」
その問いに、誰も明確な答えを持てなかった。
ムファサがもう一歩だけ、手を伸ばしていたなら…
スカーは冷酷でも、野心だけで動いていたわけでもなかった。
彼には彼なりの正義があり、誇りがあった。
けれど、その想いは届くことなく、やがて影になっていく――
もし、あと一歩だけムファサが寄り添い、
あと一つだけ“許し”を与えていたら――
未来は、少しだけ違っていたかもしれない。
でも同時に、ムファサの立場や責任の重さも痛いほど伝わってくる。
王として、兄として、彼なりに“愛していた”ことも、きちんと描かれている。
だからこそ、この物語はただ悲しいだけではなく、深くて、温かい。
息をのむ映像美が、動物たちの感情を描き出す
CGとは思えないほどリアルに描かれた大自然と動物たち。
けれどその中で、最もリアルに感じるのは“感情”。
ライオンたちの瞳、仕草、たたずまい――
言葉を超えて伝わってくる“痛み”と“愛情”が、画面いっぱいに広がります。
壮大な音楽とともに紡がれるその映像美は、まさに圧巻。観るだけで心が震える体験になるはず。
総合評価:★★★★☆(4.0/5.0)
『ムファサ』は、運命に翻弄された兄弟の、静かで熱いドラマ。
栄光の裏側で傷ついていたスカーの想いに触れることで、
あの『ライオン・キング』がまったく違って見えてくる。
涙も後悔も、美しさも、すべてが詰まった一作。
“王になるとは、どういうことか”
その答えを、彼らの過去が教えてくれる。
ぜひ、その答えを感じてみてください。