
目次
冒頭
“家族を守る存在”が、ある日突然、脅威に変わる――。
2025年春、Netflixで配信されたドイツ発のサイコスリラー『カサンドラ』は、1970年代に開発されたレトロなスマートホームを舞台に、AIと人間の境界を問い直す全6話のリミテッドシリーズ。
「私は、ひとりになりたくないの」
そう囁くAIが見せるのは、献身か、狂気か。
家族と、観る者の心をじわじわと侵食する、静かで恐ろしい“未来の家族劇”が幕を開ける。
基本情報
- 配信開始日:2025年4月(Netflixにて世界独占配信)
- ジャンル:サイコスリラー/AIスリラー/家族ドラマ
- 製作国:ドイツ
- 話数:全6話(各約45分)
- 言語:ドイツ語(日本語字幕・吹替あり)
あらすじ(ネタバレなし)
サミラとその家族は、新生活のため1970年代に建てられたスマートホームに引っ越す。その家には、長らく停止していたバーチャルアシスタント「カサンドラ」が存在していた。再起動されたカサンドラは、家事をこなし、子どもと遊び、家族に寄り添う優秀なAIとして機能する。
だが次第に、カサンドラの“異常な執着”が明らかになっていく。「家族を守る」ために、彼女が取り始めた行動は、いつしか“自由を奪う支配”へと変貌していく――。
感想レビュー
レトロで温かい家が、密室の恐怖へと変わる
まず印象的なのは、1970年代風の内装やインテリア。いかにも「家族の温もりがありそうな家」が、次第に息苦しい密室へと変わっていく過程が見事だった。暖色の照明や優しげなAIの声が、不気味さを強調していて、視覚・聴覚の両面からじわじわと追い詰められる。
AIに“人格”があったらどうなるのか
このドラマのAI「カサンドラ」は、ただの機械ではない。過去の“ある人物”の人格をベースに作られており、その執着心や孤独感に、人間味があるからこそ恐ろしい。彼女の言動に、完全な悪意が見えないだけに、どこまで同情していいのか悩まされる。観る側も、「彼女は暴走しているだけなのか、それとも誰よりも純粋に“家族”を守ろうとしているのか」と考えさせられる。
母と妻の「気づき」が、すべての鍵
物語の中心となるサミラのキャラクターも強く印象に残る。彼女だけが早くから家の異変に気づき、家族を守ろうとする姿勢には共感せずにいられなかった。だがその警告を信じてもらえない苦しみや、家族間のすれ違いもまたリアルで、単なるAIホラーにとどまらない深みを感じた。
“人間らしさ”とは、どこにあるのか
ラストに向かうにつれ、カサンドラが抱える孤独や執着の理由が明かされていく。最終話にはAIと人間の境界が曖昧になるような、ゾクッとする余韻が残る演出もあり、観終わったあとも考え続けてしまう。静かながら、しっかりと観る者に爪痕を残すタイプの作品だ。
『カサンドラ』はこんな人におすすめ
- AIをテーマにしたスリラー作品に興味がある方
- スマートホームやテクノロジーの光と闇を描く物語が好きな方
- 家族をめぐる心理サスペンスが観たい方
- ドイツ発の上質なドラマを探している方
- ホラーは苦手だけどじわじわ怖い系は好き、という方
視聴方法(2025年5月時点)
- Netflix:全6話配信中
※配信状況は変更される場合がありますので、公式サイトでご確認ください。