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池井戸潤の同名小説を原作とする映画『七つの会議』は、組織の闇と正義の在り方を鋭く描いた企業サスペンスです。豪華キャストによる重厚な演技と、テンポよく進む展開が話題を呼んだ本作。この記事では、ネタバレなしで『七つの会議』の魅力や見どころを紹介します。

映画『七つの会議』基本情報

  • 公開年:2019年
  • ジャンル:社会派サスペンス/ビジネスドラマ
  • 原作:池井戸潤『七つの会議』
  • 監督:福澤克雄
  • 脚本:丑尾健太郎
  • 出演:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、北大路欣也 ほか
  • 上映時間:119分

映画『七つの会議』あらすじ(ネタバレなし)

東京建電という大手企業の営業部で働く万年係長・八角民夫。彼は仕事に対してやる気を見せず、「ぐうたら社員」として社内でも浮いた存在だった。ところが、あるパワハラ騒動をきっかけに、社内の人間関係や業績至上主義の体質が次第に明るみに――。

一見ただの怠け者に見える八角が、次第に“ある真実”へと近づいていく過程で、組織の暗部が次々と暴かれていきます。

『七つの会議』感想レビュー

豪華キャストによる重厚な演技合戦

野村萬斎が放つ不気味な存在感は、スクリーン越しでも強烈な印象を残します。そして彼を取り巻くのは、香川照之、及川光博、北大路欣也といった日本映画界を代表する実力派俳優たち。彼らがそれぞれの信念を背負ってぶつかり合うシーンでは、まさに演技の火花が散るような緊張感が漂います。

特に注目すべきは、物語の軸となる「会議室」でのやり取りです。これはただのセリフの応酬ではなく、登場人物たちの心理戦や組織内の力関係が巧みに描かれており、観客の集中力を強く引きつけます。さらに、こうした場面では「声のトーン」「間」「視線の動き」など、細かな演技がその緊張感をより高めています。

そのため、実際に組織に属して働いた経験がある社会人であればあるほど、登場人物の立場や心情にリアリティを感じ、「これは他人事ではない」と思わず背筋が伸びるはずです。登場人物の葛藤や駆け引きを通して、観る側にも多くの感情が波及していく。それこそが、この作品の持つ演技力の説得力であり、見どころのひとつなのです。

組織の「当たり前」を疑う視点

この作品が描き出すのは、「結果こそがすべて」「上司の意向には従うべき」といった、いわゆる昭和的な企業文化の根深い構造です。つまり、成果第一主義や忖度によって維持されている組織の在り方に、鋭くメスを入れているのです。

特に印象的なのは、万年係長である八角民夫という異端的な存在の扱い方です。一見無気力で、組織に適応できていない人物のように見えますが、物語が進むにつれて、彼の行動の背後にある「信念」や「正義」の価値が浮かび上がってきます。

そのため、観客は自然と自分自身の働き方や職場環境について考えさせられることになります。「自分の会社にも、こういう空気はあるかもしれない」「自分は組織に流されていないか」といった問いが、静かに胸に刺さってくるのです。

このように、『七つの会議』はエンタメ作品でありながらも、現代の働き方に対する問題提起を含んでいる点が非常に興味深いと言えるでしょう。

池井戸潤作品ならではの痛快な展開

物語は、正義と不正、そのあいまいな境界線を巧みに描き出しながらも、決して重くなりすぎることはありません。むしろ、スピーディーな展開と絶妙な構成によって、観る者をグイグイと引き込んでいきます。これはまさに、池井戸潤作品に共通する魅力のひとつであり、視聴後の爽快感と高揚感にしっかりとつながっています。

また、企業内部のリアルな実態――たとえば、上司部下の関係性、数字へのプレッシャー、内部告発の難しさなど――が丁寧に描かれている点も見逃せません。そうしたリアリズムを持ちながらも、あくまでエンタメ作品としての面白さを損なわないバランス感覚が、この映画を単なる社会派ドラマ以上のものにしています。

その結果として、社会問題に対する鋭いメッセージと、娯楽性が見事に融合した完成度の高い作品となっているのです。

『七つの会議』はこんな人におすすめ

  • 社会派ドラマや企業ミステリーが好きな人
  • ビジネスのリアルな裏側を垣間見たい人
  • 池井戸潤作品(半沢直樹、下町ロケットなど)のファン
  • 熱い演技や群像劇が好きな人

『七つの会議』の視聴方法・配信情報(2025年5月時点)

  • Amazon Prime Video
  • U-NEXT
  • Netflix(地域による)
  • TSUTAYA DISCAS(DVDレンタル)
  • ※配信状況は変動するため、視聴前にご確認ください。

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