
目次
冒頭
「下の人に、食べ物を残してください」
そんな当たり前の願いが、なぜ届かないのか――。
Netflixで世界的ヒットを記録したスペイン発のディストピアスリラー『プラットフォーム』は、たった一つの“縦に連なる監獄”で繰り広げられる、極限の心理実験。
「食事台」が上層から下層へと降りていく仕組みのなかで、人間の本性、連帯、暴力、そして“希望”がむき出しになる。
その寓話的な世界観に、賛否を超えて深く考えさせられる一作です。
基本情報
• 配信開始:2020年(Netflixオリジナル映画)
• ジャンル:ディストピア/サスペンス/哲学系スリラー
• 制作国:スペイン
• 監督:ガルデル・ガステル=ウルティア
• 脚本:ダビド・デソラ、ペドロ・リベロ
• 上映時間:94分
• 言語:スペイン語(日本語字幕・吹替あり)
• 受賞歴:トロント国際映画祭観客賞(ミッドナイト・マッドネス部門)
あらすじ(ネタバレなし)
「縦に無数の階層がある謎の施設」に、自ら志願して入所した男ゴレン。
そこでは毎日、上層から下層へ“食事の乗ったプラットフォーム”が降りてくる。
上の階にいる者は豪勢に食べ、下にいる者には何も残らない。
月に1度ランダムに階層が変わるなか、ゴレンはこの仕組みに疑問を抱き始める。
「なぜ、少しずつ分け合うことができないのか?」
やがて、彼はこの地獄のような構造に立ち向かう行動に出る――。
感想レビュー
最初の10分で、世界観に飲み込まれる
開始直後から描かれる「コンクリートの縦穴」「中央に浮かぶ食事台」「階層ごとの人間たち」のビジュアルがあまりに強烈。
無機質で閉塞的な空間と、そこで繰り広げられる人間の行動は、SFというよりむしろ現実の縮図に感じられるほどリアル。
対話と沈黙が突きつける「選択」の重み
この映画はアクションではなく、対話で物語が進む。
上層にいたときは“余裕ある善人”だった人が、下層に落ちた途端、狂気に変わる――。
その姿が怖いほどリアルで、「自分だったら?」と問われているような緊張感がずっと続く。
隠されたメッセージが何層にも重なる
“格差”“連帯”“システム批判”“宗教的モチーフ”など、象徴的な要素が至るところに散りばめられており、観る人によってまったく異なる解釈ができる。
それがこの作品を「観たあとに語りたくなる映画」にしている最大の理由。
単なるサバイバルものではない、静かで過激な“哲学映画”でもある。
結末の余韻が強烈に残る
ラストに向けての展開も衝撃的。
「これは何を意味しているのか?」「希望は本当にあったのか?」と、明確な答えが出ないままエンディングを迎えるが、その“解釈の余白”がむしろ豊かで深い。
考察を深めれば深めるほど、本作の恐ろしさと可能性が見えてくる。
『プラットフォーム』はこんな人におすすめ
• 設定の緻密なディストピア作品が好きな方
• 社会格差・連帯・倫理に興味がある方
• 一風変わったサバイバル系映画を探している方
• 映画を観たあとに考察や議論を楽しみたい方
• 『CUBE』『パラサイト』『スノーピアサー』などが好きな方
視聴方法(2025年7月時点)
• Netflixにて独占配信中(スペイン語/日本語字幕・吹替あり)
※配信状況は変更される可能性がありますので、Netflix内で最新情報をご確認ください。